ずっと体力に自信がなかった。

体も弱いと思っていた。

何かを一生懸命頑張ったこともなかった。

 

日常生活もなんとなくおそるおそる。

スーパーの買い物も手で持って帰れないので、

いつも家まで宅配を頼んでいた。

 

６０歳を過ぎたころ

将来に不安を覚えた。

 

友人に誘われて

きくち体操を始めた。

 

自分のペースでいいといわれ、

そろそろ、ゆるゆる動いてみた。

 

「上手にできなくてもいいですよ。

意識を向けて、自分の体を感じてね！」

先生の声。

 

もともと上手になんてできやしない。

それでもいいんだ。

ほっとした。

 

「自分をよくしていけるのは自分だけですよ。

私は代わりに動いてあげられないですよ。」

 

確かにその通りだ。

 

「筋肉は自分で動かして育てるしかないですよ。

どこにも売ってませんよ。」

 

「あなたがよくしたいと思いをかけて動かせば、

あなたの体は必ずこたえてくれますよ。」

 

どの言葉も沁みてくる。

 

週に１回

楽しみになった。

 

通いだして１年たった。

自分の体と少し仲良しになってきたように思えてきた。

 

スーパーでいつものように宅配を頼もうとした時、

なぜか、今日は持って帰ってみようと思った。

なぜか、今日は大丈夫な気がした。

 

ちゃんと家まで持って帰れた。

お豆腐も大根もあったのに。

やったぁ。

１人で小さくガッツポーズ。

 

前向きに考えることが増えてきた。

これからも

大丈夫そうだ。